大規模修繕のコンサルタントの役割は?選定ポイントもご紹介

2023年4月15日

「大規模修繕コンサルタントでは何をしてくれるの?」

「コンサルタントを選ぶときの注意点は?」

 

大規模修繕工事を行う際は、様々な不安や悩みを抱えることになります。修繕積立金の管理、工事業者の選定、修繕計画の見直しなど…。

管理組合が行う業務は多岐にわたります。ですが、管理組合を構成するのは、ほとんどが大規模修繕の知識を持たない居住者です。一体何から始めたらいいのか分からない、という方も多いでしょう。

 

そんな時に頼りになるのが「大規模修繕コンサルタント」です。大規模修繕コンサルタントは、円滑な工事を行うために、様々な業務を担ってくれる大規模修繕のサポーターです。

 

この記事では、大規模修繕コンサルタントの役割や選定方法について解説していきます。

 

コンサルタントは大規模修繕のサポーター

大規模修繕のコンサルタントは、管理組合に代わって修繕工事の手続きなどを行ってくれるパートナーです。工事開始前の準備やアフターサポートまで、幅広く担当してくれます。

 

コンサルタントとなってくれるのは、設計事務所、管理会社、コンサルタント専門会社です。施工会社との間に立って、さまざまな調整を行ってくれる存在となりますので、実績などをふまえて依頼していきましょう。

 

大規模修繕コンサルタントの費用相場は?

大規模修繕のコンサルタント費用は、大体の相場があります。サポート内容によって異なりますので、事前に依頼先にチェックしておきましょう。

 

大規模修繕費の5〜10%

工事費が1,000万円かかる場所であれば、50〜100万円かかる計算です。

当然、依頼先のコンサルタントや工事内容によって費用は異なります。例えば、建物の高速が複雑である、経年劣化が激しくリスクが大きいなどはコンサル費の増加につながります。

 

大規模修繕費とは別途に費用がかかりますので、事前に具体的な金額がいくらかかるか相談し、依頼するかどうか判断しましょう。

大規模修繕の費用がどのくらいかかるのか気になる方は下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

>>>大規模修繕の費用相場

コンサルタントを入れることで大規模修繕の費用が安くなる場合も

コンサルタントを入れることで、修繕費用が安くなる場合もあります。

コンサルタントは、建物の劣化診断を行い、修繕箇所を見極めます。調査を基に、修繕をしなくて済む場所も見極めてくれるので、当初の想定よりも修繕費用が安くなる場合があるのです。

予算が厳しい場合などは、不要な修繕箇所がないかも見極めてもらいましょう。

コンサルタントを導入するメリット

コンサルタントを導入するメリットにはどんなものがあるのでしょうか。順番に見ていきましょう。

 

 

メリット1.大規模修繕の計画や工事がスムーズになる

一つ目は、工事の準備〜完了までが非常にスムーズになることです。工事には膨大な時間・労力・知識が必要です。

経験のない居住者が、普段の生活の中で大規模修繕の準備を進めることは困難を極めるでしょう。

そんな時、コンサルタントに依頼することで、時間も労力も無駄にせずに工事を進めることができるのです。

 

メリット2.施工会社と円滑なやり取りが可能になる

二つ目は工事を発注する会社との協議がスムーズにいくことです。見積もりを見極めたり、業者と話したりするには専門的な知識が必要になります。

コンサルタントを入れることで、見積もりを公正に見極め、建物に関する専門的な話をしてもらうことができます。

 

メリット3.客観的なアドバイスをもらえる

三つ目は客観的な視点でアドバイスをもらえることです。管理組合を構成するのは、ほとんどが大規模修繕の知識を持っていない居住者です。

修繕の必要のない場所まで計画に盛り込んでいる、施工会社の見積もりが不当に高い…といったことに気づかない場合もあるでしょう。

コンサルタントが入ることで、大規模修繕の無駄な部分や効率が悪い部分が洗練されていくのです。

 

コンサルタントを導入するデメリット

大規模修繕で心強いパートナーになるコンサルタントですが、デメリットもあります。

いざコンサルタントを依頼する時のために、デメリットもしっかり把握しておきましょう。

デメリット1.予算を圧迫する場合がある

コンサルタント費用の相場は5〜10%です。修繕費が1,000万円なら、大体50〜100万円程かかるということ。

規模が大きくなればなるほど、サポート内容も増え、コンサル費用も増加していきます。

「予算がギリギリ」

「一時金の徴収などは難しい」

といった管理組合では、サポート内容を厳選しないと依頼が難しくなる場合もあります。

予算と相談しながら検討しましょう。

デメリット2.コンサルタントに任せきりになってしまう場合も

もう一つのデメリットは、コンサルタントに任せきりになってしまうことです。

打ち合わせなどもせず、出された書類にサインするだけでは、足元をすくわれる場合もあります。

コンサルタントは大規模修繕費が高くなればなるほど、コンサル費も多くもらえます。悪質な場合は、不当に高額な修繕費を設定してくるケースもあるでしょう。

管理組合は打ち合わせなどを通じ

「しっかり調査してくれているか」

「不要な修繕箇所を盛り込んだり、施工会社との癒着はないか」

 

などのチェックを行わなければなりません。

 

大規模修繕コンサルタントに依頼できる業務

コンサルタントに依頼できる内容について、大規模修繕の流れに沿って解説します。あくまで一例ですので、どこまで依頼できるかはコンサルタントにしっかり確認しましょう。

 

建物劣化診断

最初に行われるのが、建物の状況調査です。劣化具合、設備の状況などを目視や聞き込みで確認します。

大規模修繕の計画を立てる上で、ベースとなるステップですので、コンサルタントと打ち合わせをしながらしっかり状況を把握したい部分です。

コンサルタントは工事を行うべき箇所、範囲、時期などを建物の状況から診断し、予算と擦り合わせながら今後の工事について検討してくれます。

 

修繕計画の作成

診断結果やこれまでの修繕状況を踏まえ、工事の具体的な内容(期間、費用、方法)について決定します。

ここでは予算が密接に絡んできますので、最低限必要な工事は何か、次の工事に延ばせる修繕箇所はどこかなどをコンサルタントと綿密に打ち合わせしておきましょう。

修繕計画の最終決定がなされた場合は、コンサルタントが設計図書というものを作成します。施工会社に見積もり依頼を出す書類になるので、作成後の設計図書はしっかり確認するようにしましょう。

 

施行会社の選定基準

次に施工会社を選定します。コンサルタントは、次のような流れで選定するのが一般的です。

コンサルタントを選定する流れ

  1. 依頼を出す施工会社のピックアップ
  2. 見積もり作成依頼
  3. 見積もりの比較
  4. 施工会社との打ち合わせ
  5. 施工会社の最終決定

ここで初めて具体的な大規模修繕費が分かります。大規模修繕の内容や施工会社について、総会で承認が降りれば着工です。総会での資料も、コンサルタントが作成してくれる場合があるので、相談してみましょう。

 

工事の監理

工事の監理とは、工事が計画通りに進められているかチェックすることです。開始前〜完了までの監理を請け負います。

工事開始前には施工会社と発注者の間に立ち、工事の最終確認を行うのが一般的です。着工前の居住者説明にも同席し、その資料作成や説明を行います。

着工後は随時、現場監督やオーナーと建物の点検を行います。コンサルタントは工事の様子を写真におさめ、報告書を提出してくれるはずですので、オーナーや管理組合が全ての工事過程をチェックする必要はありません。

 

工事後は工事の保証年数に応じた定例検査が必要です。コンサルタントは検査時に立ち会い、修繕工事の問題点がないかアフターフォローを行います。

 

大規模修繕コンサルタント選定基準

コンサルタントは大規模修繕で重要な役割を担うパートナーです。最後に、コンサルタントを選定するポイントについて解説します。

 

わかりやすい実績があるか

コンサルタントの実績は、選定するにあたって1番わかりやすい基準になります。実施年数、件数、口コミ、リピート率などを参考にすると良いでしょう。

ただし、大規模修繕のコンサル内容は多岐にわたります。所有する建物と類似の修繕を過去に行なっていれば、より安心して依頼することができるでしょう。

ただし、大規模修繕の内容は多岐にわたるため、どこまでサポートしてくれるのかをしっかり確認する必要があります。

マンションやビルの知識をもつ有資格者か

担当者がマンションやビルの知識を持つ有資格者かどうか見極める必要があります。

コンサルタント業務には資格は不要です。ですが、資格は専門性を示す重要な指標です。

一級建築士やマンション管理士などの資格を持つ人であれば、施工会社とのやり取りもスムーズになるので、より安心して依頼できるのでしょう。

また、大規模修繕は管理組合とのやり取りが主ですので、総会や居住者対応の方法などを理解した、マンション運営に精通した人物が望ましいです。

 

コミュニケーション能力はどうか

コンサルタントに必須なのがコミュニケーション能力です。発注者と施工会社の間に立つので、伝達役としての役割を果たせる必要があります。

管理組合を構成する居住者は、ほとんどが大規模修繕の知識がない方々です。

打ち合わせの際の分かりやすさ、丁寧さ、誠実さ、柔軟性など…高いコミュニケーション能力のある担当者であれば、準備や工事が非常にスムーズになります。

 

まとめ

この記事では大規模修繕コンサルタントの役割や重要性について述べてきました。この記事をまとめると以下のようになります。

記事のまとめ
  • 大規模修繕コンサルタントとは修繕工事をサポートしてくれるパートナーである
  • 大規模修繕に関わるあらゆる業務の相談・依頼ができる
  • 選定の際は実績・資格・コミュニケーション能力などで総合的に判断する

多くの大規模修繕ではコンサルタントが仲介に入ります。

「いつもお世話になっている管理会社だから…」

と安易に選定してしまうと、思ったより費用が高く、最初からやり直しになってしまった…などという無駄な時間を生んでしまう可能性もあるのです。

コンサルタント選びの際は、ご紹介したポイントをおさえ、長く付き合えるかどうかを見極めるようにしましょう。