マンション大規模修繕にかかる費用はいくら?目安や捻出方法も紹介

 

「大規模修繕の費用は一体いくらかかるのか」

「大規模修繕の費用の目安はどのくらい?」

 

マンションを大規模修繕する際、気になるのが費用。なるべくなら安く済ませ、無駄な出費を抑えたいところです。

 

この記事では大規模修繕にかかる平均的な費用や修繕箇所別の費用を紹介します。費用の捻出方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

大規模修繕の費用目安は?

さっそくではありますが、マンションの大規模修繕には一体いくらかかるのか。費用の目安を解説します。

大規模修繕の費用は、マンションの戸数をベースに構造や状況によって異なりますので、ここでは戸数を基本にした修繕費用の目安を紹介します。

 

1戸あたり100万円〜125万円が基本

令和3年に国土交通省で実施された「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、1戸あたり75万円〜100万円の修繕費用がかかることが示されました。

例えば、50戸のマンションならおよそ3,750万円〜5,000万円の費用がかかる計算です。

ちなみに、ここには仮設費用や改修費を含んでいません。実際は、管理会社などが手数料・仲介料として20%〜30%利益を乗せてきますので、4,500万円〜6,000万円ほどがかかると思った方がよいかもしれません。

もちろん、建物の状況によって大きく変化します。複数の業者に見積もりをとり、大規模修繕にかかる費用の相場を押さえておくと良いでしょう。

 

積立額の相場は10,000円/月前後

数千万円以上が必要になるマンションの大規模修繕。

「じゃあ一体どのくらいの金額を毎月積立はどのくらいしておけばいいの??」

という疑問を持たれる方も多いでしょう。

積立費用の目安は1戸あたり10,000円/月前後です。大規模修繕の周期目安は12年ですから、50戸のマンションで10,000円/月の積立を12年間行うと

50戸のマンションで10,000円積み立てた場合

1万円/月×50戸=50万円/月

50万円/月×12年=7,200万円

先ほどの目安から考えると「少し多いかも?」と思うかもしれません。しかし、いざ大規模修繕工事が始まってみると、予想外の出費が多くなります。

実は劣化が深刻であった、工期が伸びた、追加の注文が必要になったなどです。更に、12年の間にも建物のメンテナンスが必要になり、小規模な修繕にも費用がかかります。

また、後述しますが2回目、3回目以降の修繕は一般的に費用が高くなります。いざという時に「足りない」といったことにならないよう、余裕を持った積立を行っていく必要があります。

 

修繕箇所別の費用目安は?

修繕箇所によっても費用は異なります。劣化具合によっては高額になる場合もありますので、日頃からのメンテナンスも重要です。

また、見積もりを取った際の金額の妥当性を考える上で、修繕箇所ごとの目安や知っておいた方がいいでしょう。

 

仮設工事

仮設工事とは足場を組む工事のことです。

足場の費用は1平米あたり800〜1000円ほど。

50戸クラスになれば足場代だけでも原価でも最低700万はかかります。

ここに警備員や駐車場代などが盛り込まれ、管理会社や元請会社の利益を乗せられると、あっという間に1,000万円近くになります。

 

防水工事

屋上・廊下・階段・バルコニー・シーリング費用など合わせると1平米あたりの単価は1万円前後です。

材料によっても異なりますが、50戸クラスになれば最低でも800万円近くかかります。

 

外壁工事

外壁工事にかかる費用は使う塗料によってまちまちです。

 

1平米あたりの単価は1,000円〜5,000円ほど。アクリル、ウレタン、フッ素など塗料によって費用が大きく変わります。

1戸あたり15万円前後と言われていますが、50戸では750万円前後。こちらに下地処理や高圧洗浄台もかかりますので、実際は800万円〜1,000万円前後を目安に考えた方がいいでしょう。

 

設備工事

設備工事とはマンションの電灯やポストといった付帯設備の設置や改修です。

設備の修繕や改修には50戸であれば200万円前後。改修に伴い、付帯設備を大きくグレードアップする場合は更に費用がかかります。

大規模修繕は何に費用がかかるのか

大規模修繕は「修繕」と「改修」に費用がかかります。12年〜18年に一度、建物の状況や時代背景に合わせて行うのが一般的です。

 

建物の維持にかかる「修繕」

劣化箇所の回復を行うのが修繕です。例えば剥がれた外壁の塗装や劣化したシーリングの打ち直しなどが挙げられます。

大規模修繕は「修繕」をさすことが多いです。見栄えの向上や建物の機能を支障のない範囲まで回復させることを目的に行います。

一戸あたりの相場が大体決まっており、費用を算出させやすい部分です。

 

建物の機能を向上させる「改修」

社会や時代の変化に合わせ、生活水準を高める為の工事が「改修」です。

具体例としては、階段をスロープにする、共用部に手すりをつけるなどのバリアフリー改修が挙げられます。

かなり大掛かりな工事になりますので、修繕とセットで行うのが一般的です。

費用は建物や工事内容によって大きく異なります。

 

 

2回目以降の費用は?

2回目以降の修繕費用は高くなっていくのが一般的です。1回目では修繕されなかった部分の劣化や、修繕対象の増加などが原因です。

 

国土交通省の実態調査によれば、2回目以降の1平米あたりにかかる費用は10〜15%増加するとされています。

 

1回目は5,000万円の大規模修繕だった場合、2回目は5,500万円前後、3回目は6,000万円前後になる計算です。

 

エレベーターがあるマンションでは取り替えも視野に入れる必要があります。エレベーターは20年〜25年が寿命です。一機あたり700万円〜1,000万円前後かかります。

 

「2回目以降は修繕費が高くなる」

 

このように考えておきましょう。

 

大規模修繕の費用を賄うには?

最後に修繕費を賄う方法についても解説していきます。日々の積立がもちろん大事ですが、修繕費用が足りなくなる場合も。そんな時はどうすればいいのでしょうか?

対処法を詳しく解説します。

 

一時金

足りない分を所有者から一時金として徴収する方法です。

 

この方法はマンションの管理組合によって総会が開かれ、更に決議で可決されなければなりません。

 

所有者に負担を強いる方法ですので、普段から積立金を支払っている所有者様からは反対される可能性が高い方法です。

 

一時金の支払いを所有者に求める場合は、一時金を支払うことによって享受できる利益、今後の積立の方針など根拠を持って説明できる必要があります。

 

借り入れ

「住宅金融支援機構」や「民間の金融機関」から管理組合が借り入れる方法です。修繕完了後に積立金を増額し、何年かかけて返済していきます。融資を受ける際は、条件(滞納率や修繕積立金の額等)を満たす必要があります。この方法も管理組合で総会を開き、決議で可決されなければなりません。

 

一般的には住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を申し込み、融資を得られなかった場合に民間の銀行等の金融機関の融資制度を利用する場合がほとんどです。

 

積立額の値上げ

毎月の積立額を増やす方法です。総会での決議が必要になりますので、大規模修繕が差し迫った状況で行うのは現実的ではありません。

 

大規模修繕の予算と毎月の積立額をを照らし合わせ、早い段階で部屋の所有者に提案する必要があります。

 

修繕時期の延長

最後は大規模修繕の時期を延ばす方法です。12年に一度行うよりも、15年〜18年に一度行う方が費用が安くなる場合もあります。

 

その場合は日頃から建物のメンテナンスを行い、居住者や周辺道路の安全を確保することが最低条件となりますので、安易に修繕を延長しないように留意してください。

 

修繕時期の延長については別記事でも紹介しております。そちらも合わせてご覧ください。

 

まとめ

ここまで大規模修繕でかかる費用の目安についてご紹介してきました。まとめると

記事のまとめ
  • 修繕費用は「修繕」と「改修」にかかる
  • 修繕費用の目安は1戸あたり75万円〜100万円
  • 2回目以降は修繕費用が高くなる傾向にある
  • 修繕費用は余裕を持った積立が必要

以上になります。

大規模修繕は、状況によってやり方も費用も全く異なります。高すぎても、安すぎてもいいわけではありません。複数の工事会社に見積もりを取り、信頼できる会社を見極めながら準備を進めていきましょう。