大規模修繕の見積りは複数社から取るのが鉄則|確認すべき項目も解説

「マンションの大規模修繕がいくらかかるのか知りたいから見積りを取りたいけど、どこに依頼すればいいの?」

マンションの大規模修繕を計画する際に避けては通れない見積りの取得。

少しでも安い金額の見積りを取りたいところですが、修繕箇所が正確に記載されておらず、「着工後に高額な追加費用を請求される」なんてことも…

では、どうすれば正確で安い金額の見積りを取ることができるのでしょうか。

当サイトでおすすめしているのは、相見積りです。

大規模修繕で複数業者から相見積りを取得するメリット

まずは、マンションの大規模修繕において相見積もりを取ることにどんなメリットがあるのか解説します。具体的には、以下3点です。

相見積もりを取るメリット

  1. 金額の妥当性が分かる
  2. 価格競争を起こせる
  3. 値下げ交渉が有利になる

それぞれ順番に解説していきます。

金額の妥当性が分かる

複数業者から見積りを取ることで、各項目ごとの金額を比較して妥当性を判断することができます。

適正価格が把握できたうえで、より安い業者に発注することもできるのです。また、相見積りを取得することによって、値下げ交渉の材料にもなります。

価格競争を起こせる

相見積りを取ることで、修繕業社に「安くしないと受注できない」と思わせることができます

つまり、価格競争を起こせるということです。

値下げ交渉が有利になる

相見積りを取ることで、値下げ交渉も有利になります。

例えば、〇〇社では防水工事は安いが、その他の工事が△△よりも高い場合には、そこを交渉材料がとして利用できるです。

〇〇社に対し「防水工事以外の工事はもう少し安くなりそうだが、値下げは可能性ですか?」というような値下げ交渉です。同じように△△社に対しても同様な値下げ交渉を行います。

「御社より安くしていている会社がある」や「アッチの会社は□□□円くらいの単価ですよ」というような値下げ交渉は禁止です。あくまで、「安くなりそうな積算だけどどうですか?」という言い方で交渉しましょう。

複数業者に相見積りを取ることによって、このような値下げ交渉ができることになります。

大規模修繕の見積り取得方法

大規模修繕で複数業者に見積りを取得するには、手順をしっかり行えば難しいことなく簡単に進めることができます。

1.修繕内容、修繕方法を決める
2.見積り依頼業者に対して説明会を行う
3.提出された見積りの確認、比較を行う
4.最適な業者に大規模修繕を依頼する

このような流れで見積りを取得していきます。

修繕計画を決めるには専門家の見解が必要

修繕計画を立てる場合には専門家に調査を依頼することが望ましいです。修繕のプロの目で見て、どこを修繕すれば良いのか、どのように修繕すれば良いのか、ということを明確に示してもらいます。

いわゆる、建物の劣化診断となります。健全度調査という名称で行っていることもあります。

プロに大規模修繕計画を明確化してもらうことにより、見積りを依頼する際に専門業者に説明しやすくなります。

建物の劣化診断は複数の専門家に依頼してみる

劣化診断は複数の専門家に見てもらうことによって、正確に建物の劣化具合を知ることができます。劣化診断のセカンドオピニオンと表現されることがあります。

セカンドオピニオンを行うことによってより良い劣化診断をすることができるのです。

マンションの大規模修繕セカンドオピニオンは必要?メリットや依頼先を解説

こちらでより具体的なセカンドオピニオンの記事をご覧ください。

見積り依頼用の説明会を実施する

マンションの大規模修繕に向けて業者向けに説明会を実施します。時間と場所を指定し、複数の業者に来てもらうと良いでしょう。

説明会を実施することによって、複数の業者にその都度説明する手間が省けます。非常に効率的な為、説明の実施が理想的です。

手間の面だけではなく、各業者に競合他社がいることを認識させる効果もあります。

説明会では修繕箇所を実際に見て回ると効果的

図面や文章だけで見積り依頼をするよりも可能な限り「現場」を見てもらってください。個人の居室に関係するところについては難しいので、その場合はあらかじめ写真を撮って置き、説明資料に添付するとより良いです。

実際の現場を見ることによって修繕業者もイメージが付きやすい為、後からの問い合わせが減ることや、最小限の金額提示で済むこともあります。

業者側にイメージがつかない、わからない部分に関しては金額を高めに設定し、赤字にならない為の保険をかける可能性もあるのです。

見積り金額がより安いところに修繕を依頼

見積りの確認ができたら、安いところに修繕を依頼すると良いでしょう。また、値引き交渉を行うと、多少金額を下げてもらえる可能性もある為、積極的に値切り交渉をしてみるより良いです。

値切り交渉は恥ずかしいなどという気持ちもありますが、工事では値切りは日常茶飯事行われています。業者は慣れている為、積極的に動きます。値切りされることを前提に少し値段をあげている業者もあるのです。

大規模修繕の見積りが来た後の確認箇所

見積り依頼した業者から見積りが来てからの確認事項は以下の通りです。

  • 説明会で知らせた修繕内容通りか、過不足はないか
  • 面積や数量は合っているか
  • 金額の妥当性

以上の点を確認して各社の見積りを見比べるようにしてください。

修繕内容通りか確認するポイントは使用材料を見る

使用材料は図面や建物の劣化診断の資料に掲載されているので、その材料と同等かどうかを見比べます。メーカーが異なり、同等品を使用するような記載がある場合にはその資料を提出してもらうようにしてください。

予定使用材料より、質の低いものを同等と主張し、不正に値を上げることを防ぐためです。

各修繕箇所の仕様は新築時の設計図に記載されています。全く異なる材料や工法を用いると建物の劣化を早めてしまう危険性もある為注意が必要です。

また、消防法などによって必要な「不燃材料」を使用しないといけない箇所もある為、十分確認が必要です。

修繕箇所の予定数量の見方は劣化診断から

建物の劣化診断を行うと、対象箇所の数量が提示されますので参考にしてください。見積り内では劣化診断時の数量と多少の誤差がある場合もあります。しかし、大きい差異の場合は見積りを提出してきた業者に確認してみる良いです。

大規模修繕で見積りを取得する場合の注意点

見積り依頼をする際にはに工事箇所の面積や数量はそれぞれの業者に計算してもらうようにしてください。後々のトラブル回避にもつながります。

また、説明会や、見積り取得の条件についての説明は一人で行わず、管理組合などの大規模修繕チーム複数人で実施し説明内容をメモや録画をしておくと良いでしょう。

修繕箇所の面積や数量は各業者に計算させる

図面や現場を見せることで、実際にかかる面積や数量を計算させる必要があります。計算させることで、発注後に計算ミスで数量が間違っていたとしても追加料金を拒むことができやすくなります。

劣化診断時に依頼する業者によっては、劣化診断終了時に修繕見積りを作成してくる場合があります。その見積りの金額を消した資料は添付しないでださい。その資料には他の会社が計算した数量が載っている為、自分たちで計算をしなくなります。

数量がわかる資料を添付した場合のトラブル

数量がわかる資料を添付すると、全業者同じ内容の見積りが完成し単純に金額だけを比べるだけになるので大変便利です。しかし、数量を業者が計算しないと、トラブルになる可能性があるのです。

「聞いていた数量と違うから請求します」
このような後から追加料金を請求されることが、発生する可能性があります。

工事が進み、提示した数量よりも多い量になった場合のトラブルです。修繕箇所の数量を自社で計算させると、自社の責任となる為、このようなトラブルは大きく減ります。

見積り内容の説明事項はしっかりと記録しておく

説明会等で発言した内容についてはしっかり記録をしておくことで、後々の「言った言わないトラブル」を回避できます。メモの他にも録音や撮影をしておくとさらに効果的です。

多額の費用が発生する大規模修繕ではできるだけトラブルリスクを減らすことが大切になります。

まとめ

大規模修繕における相見積り取得のメリット、取得方法から依頼をする流れと注目ポイントを紹介してきました。大規模修繕では多額のお金が発生することや専門性が高いこととなるので、難しく思われることもありますが、手順を踏めばスムーズに進めることができます。

適正な見積りでよりよい大規模修繕を行いましょう。