大規模修繕における管理組合の役割とは?|修繕委員会についても解説

「大規模修繕で管理組合はどんな役割があるの?」

「大規模修繕で管理組合がやるべきことは?」

分譲マンションを購入した際は、自動的に管理組合に加入することになります。マンション運営のための様々な業務を担い、大規模修繕ではその企画立案を行います。

大規模修繕において、管理組合は一体どのような役割を担うのか、管理組合としてどのようなポイントに気をつけて大規模修繕を行っていくべきかを解説しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

 

マンションの管理組合と修繕委員会

多くのマンションには管理組合というものが存在します。さらに、大規模修繕の企画立案を担う修繕委員会が設立されている場合がほとんどです。

大規模修繕における管理組合の役割を知る上で、この2つが何なのかを明確にしておきましょう。

 

管理組合とはマンションの維持管理係

管理組合の主な役割は、マンションの維持管理です。管理組合の構成員は「分譲マンションを購入した人」です。

日常清掃などの維持管理業務は、業者によって行われますが、業者への委託や管理は管理組合が行うのが一般的です。管理費や修繕積立金の管理も行うため、重要な役割を担っています。

管理組合内には、最終決定権を持つ「理事会」が組織されます。大規模修繕時は管理組合と理事会が協力し合いながら、企画立案を行なっていくのです。

 

管理組合内で結成される修繕委員会

大規模修繕時には、管理組合内で「修繕委員会」が発足される場合がほとんどです。

修繕委員会は工事着工の1〜2年前から発足されます。大規模修繕を円滑に行うため、長期修繕計画の見直しや業者の選定などを行います。

義務ではありませんが、発足にあたっては総会で組合員の承認を得るのが望ましいでしょう。修繕委員会を構成する組合員のほとんどは、大規模修繕に関して知識0からスタートです。

居住者にとっては大きな負担になりますし、大規模修繕にかかる様々な経費が修繕積立金から捻出されるからです。

専門家に完全委託する場合もありますが、費用の問題から、基本的には居住者で構成し、都度専門家に意見を求めていくパターンがほとんどです。

 

大規模修繕における管理組合の業務

では次に規模修繕時には、管理組合や修繕委員会がどのような役割を担っているかご紹介します。

 

長期修繕計画の見直し

大規模修繕の計画書である、長期修繕計画の見直しを行います。

長期修繕計画は5年に一度見直し、建物の劣化具合や予算の状況に応じて常に軌道修正していくものです。

もちろん、調査や細かい費用の計算は外部の機関に頼ることになります。管理組合では、長期修繕計画をチェックし、状況を把握し、どのような機関に業務を委託していくべきかを検討します。

管理組合で長期修繕計画を把握しておくことで、予算不足に対応したり、住民からの質問に明確に答えられたりできます。

余計なトラブルを防ぐためにも、管理組合として力を入れたい重要な業務の一つなのです。

 

建物の劣化診断

劣化診断は、建物の状況を知るための調査です。管理組合が主導となって建物の劣化状況をチェックし、修繕をするべき箇所や実施するかどうかも見極めます。

なぜこのような診断が必要かと言うと、大規模修繕の途中で「予算が足りなくなった」と言った不足の事態を防ぐためです。

建物の劣化診断時には、緊急性が高い工事を最優先にし、不要な工事を削減できるよう、専門家のアドバイスをもらいながら判断しなければなりません。

 

委託業者の選定

大規模修繕を行うにあたり、そのサポートを依頼する業者を決定します。

大規模修繕を行う際は、管理会社やコンサルタントに依頼し、流れについて相談したり、施工業者を選定してもらったりするのが一般的です。

工事の内容によって、受けるサポートは異なります。まずはどのような工事を行う必要があるのかを明らかにし、それに合ったサポートを行ってくれる会社を選ぶ必要があります。

居住者対応

居住者への対応は、大規模修繕を円滑に進める上で、最も大事な役割です。

大規模修繕工事前は、着工に向けて準備を進めていることや修繕にかかる費用について周知を行います。費用の根拠について説明を求められれば、明確な答えを出せなければいけません。

着工後は安全に関する注意喚起、居住者のクレーム対応などを行います。大規模修繕は、居住者の生活に大きな影響を与えますので、騒音や安全に関する配慮を最大限に行う必要があるでしょう。

居住者の反対やクレームによって、大規模修繕が着工できない、工事が進まないという事態はざらにあります。総会で行う大規模修繕工事の説明にしっかり根拠を持たせること、居住者の意見に誠意を持って対応することなどが求められます。

 

管理組合で修繕委員会を発足する際の留意点

大規模修繕時には、管理組合内で修繕委員会を発足するのが一般的です。発足に際して、どのような留意点があるのかご紹介致します。

 

修繕委員会は理事会の諮問機関

一つ目は、修繕委員会は理事会の諮問機関であるということです。諮問機関とは、尋ねられた意見について答える組織です。

修繕委員会では、大規模修繕に関する様々な計画や運営を行いますが、最終的な決定は理事会に委ねられます。

修繕委員会の独断で業者に委託をしてしまった、工事を進めてしまった…と言った行為は、後々大きなトラブルにつながる可能性もあるでしょう。

理事会から大規模修繕に関する意見を求められ、修繕委員会が必要な情報を集めて理事会に提出する…という流れが一般的です。

理事会から修繕委員を選出する

修繕委員会の発足時には、理事会からも委員を選出するのが望ましいです。

大規模修繕のスムーズな進行は、理事会と修繕委員会の連携にかかっています。理事が修繕委員となることで、情報を共有しやすくなり、両者の連携が深まるでしょう。

理事会は修繕委員会の監理業務も担っています。理事が修繕委員会にいれば、修繕委員が身内の業者に工事依頼を行なっていないか、費用に関する不正はないかなど監査しやすくなるのです。

 

まとめ

この記事では大規模修繕における管理組合の役割などについて述べてきました。まとめると以下のようになります。

記事のまとめ
  • 管理組合とは、分譲マンションを購入したすべての所有者が加入するもの
  • 大規模修繕での役割は重要性が高いため、専門家の力が必須
  • 大規模修繕時は管理組合内で修繕委員会が発足され、理事会と連携して取り組む

大規模修繕は着工前〜着工後まで非常に多くの手続きが必要です。内容の煩雑さに頭を抱える人も少なくありません。

円滑な大規模修繕工事のためにも、専門家の力は必須です。早い段階から信頼できる専門家を探しておきましょう。