マンションの大規模修繕周期が12年より15年が良い理由と方法を解説!

大規模修繕の周期はおよそ12年が最適だと言われてきました。しかし、近年では15年程度の周期で大規模修繕を実施するマンションも増えています。

そこで今回は、大規模修繕の周期を12年ではなく15年にすることの理由やメリットを分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

大規模修繕が15年周期の場合のメリット

大規模修繕の周期が12年ではなく、15年であるメリットは修繕の回数を抑えることです。

これにより、費用が軽減され、管理組合や住人に負担も減らすことが可能です。

このようなメリットから、最近では、12年周期ではなく15年周期の大規模修繕を採用しているマンションが増えてきています。

15年周期としてトータルコストが大幅に削減ができる

15年周期の大規模修繕の場合、1回の大規模修繕予算が減るわけではなく、マンションの寿命までを考えた長期的な節約となります。

現代におけるマンションでは築60年以上を目安とする長寿命化を目指して建設されており、寿命までに何度も小規模修繕と大規模修繕が繰り返されます。

特に予算が多く発生するのが大規模修繕です。

寿命が築60年以上と仮定する場合、12年周期であれば、5回の大規模修繕が発生します。15年周期であれば1回減って4回で済みます。

大規模修繕にかかる費用は建物の規模などによって異なりますが、仮に平均で2500万円とすると、5回の大規模修繕で1億2500万円、4回だと1億円となり、15年周期の方が2500万円の節約となります。

将来を見越した修繕積立金を少しでも多く残せる

大規模修繕のトータルコストを抑えると、将来を見越して修繕積立金を残せることになります。計画的には修繕積立金は、満足できる金額が貯まっているように設定されていますが、現実は厳しいマンションが多いです。

住戸数と、管理費を計算して、〇年後には「いくらの修繕積立金が貯まっている」と計画されますが、これはまったくあてにできません。新築時満室だったマンションも築年数が増し、引っ越しなどで空室ができると、管理費を徴収できなくなります。

小さい不具合によっての出費も考慮すると、思ったように修繕積立金が貯まらないことがあります。

仮に、計画通り修繕積立金が貯まっていたとしても、修繕積立金計画は建設当初の物価から算出されている影響で、物価が高くなれば、計画通りの積立金があっても対応はできません。

実際に、ここ数十年でも材料費は値上げしていますが、2年、3年を見てもかなりの物価上昇が見て取ることができます。

その為、修繕積立金を残す為に15年周期を採用することがメリットとなります。

管理組合や住人の負担を減らすことができる

大規模修繕計画ではかなりの労力が必要です。大規模修繕をするタイミングの管理組合のメンバーにはかなり負担となります。12年周期の場合はすぐに次の大規模修繕計画を検討しなければならないこともあります。

また、大規模修繕と大規模修繕の間にある中規模、小規模修繕にも対応すると、ほぼ修繕に時間を費やすこととなる為、15年サイクルになると、修維持管理にもしっかりと目を配ることができます。

また、大規模修繕では足場をかけたり、騒音が増えたりすることもある為、住民への負担を減らすこともできるようになります。

大規模修繕を15年周期にできる理由

大規模修繕を15年周期にできるのは、建物建設や材料などが技術の向上と品質の上昇傾向にあるからです。品質の向上により、必然的に保証期間も伸びてきています。大規模修繕が12年周期目安だった理由としてはおよそ12年前後で各箇所や材料が寿命を迎える想定をされていた背景があります。

技術、品質の向上により、想定されていた年数よりも、材料などの長寿命化を実現できます。その為、大規模修繕を15年周期とすることができるようになりました。

保証の長期化で大規模修繕周期を長くできる

建物で一番防がなければならないのは漏水です。漏水を防ぐために防水処理を行っていますが、防水に対する保証も長期化しています。

従来の防水では10年程度の保証期間を設けておりましたが、技術の進歩により15年以上の保証期間を有する工法も多くなってきました。

その為、大規模修繕も15年周期とすることができるようになるのです。

設備の長寿命化で15年を実現できる

エレベーターや給排水・空調設備、の寿命も技術の向上により長くなってきています。その為、短い周期で大規模修繕を行わなくても良いと考えられるようになりました。

もともと、住民が快適な暮らしを心配なく継続させる為に12年周期で大規模修繕が行われてきましたが、15年周期でもそのような暮らしを確保できるようになったのです。

まとめ

日本の建物はスクラップアンドビルドと言い、壊しては建て、という短命な建物が多く存在してきました。

しかし、第二次世界大戦後の高度経済成長期と建設ラッシュ、さらには現代の資源節約が難しい方にマッチして建物の長寿命化が叫ばれてしまっている時代です。

長寿命化をすることは良いことですが、お金は多く発生してしまいます。

大規模修繕のサイクルを少し長くしながら節約し、快適な生活を維持してみてはいかがでしょうか。