大規模修繕にはどのくらいの期間が必要?長くなる原因や短縮方法も解説

2023年4月30日

マンションにお住いの方は12年から15年に1回、マンション大規模修繕を経験することになります。大規模修繕をインターネットで調べてみると「ストレス・費用が高い・クレーム」といったネガティブなワードが多い印象です。ただ、住んでいる建物の価値を守る為に必要な工事となります。

建物の価値を守る為に、外壁や屋上を大掛かりに工事することとなりますが、一体どのくらいの期間を要するのでしょうか。今回は、大規模修繕の期間について詳しく解説していきます。

 

マンションの大規模修繕には2年〜5年もの期間が必要

マンションの大規模修繕は、計画から工事完了まで約2年から5年の期間を要する一大プロジェクトです。この間、マンションに住んでいる限りは、何かしらの形で大規模修繕に関わって行くこととなります。

大規模修繕工事が行われる期間に理事になると会議も多くなりますし、居住者の合意形成を図るために活動することも必要になるのです。

 

大規模修繕期間の具体例

来るべき大規模修繕に向けて、どの様なスケジュールで進行するか知っておいて損はありません。大規模修繕の計画から工事完了までを具体的に見ていきましょう。

工事計画

新築(または、前回の大規模修繕から)10年が経過すると大規模修繕の計画を開始する事になります。工事に建築コンサルタント会社を入れるのか、それとも工事業者にすべてを任せるのかを決定するところから始まり、工事開始するまでに、少なくとも1年以上は掛かります。

 

工程ごとの必要日数

次に、それぞれの工事日数を見ていきましょう。

工事項目 工事内容 工事期間
足場組立工事(仮設工事) 工事用の足場 1週間程度
バルコニー調査 工事前の片付け状況調査 5日
下地調査 タイルやコンクリート調査 3日
下地の補修・シーリング工事 下地を削ったり、モルタル成型。

シーリング材の取替

1週間程度
外壁洗浄工事 汚れ落としの洗浄 1日から2日
外壁・鉄部塗装工事 壁や天井・隔て板等の塗装 7日から10日
防水工事 溝の防水 6日程度
長尺塩ビシート工事 床のシート貼り 4日から6日
美装工事 工事後の清掃 1日から2日
検査 最終確認検査 3日程度

1工区すべての工事が完了するまでに、約2か月間かかります。この流れで、約10日前後ずらして工区毎に工事が進んでいきます。100戸前後の中型マンションで約4か月から1年、300戸を超えてくる大型マンションですと1年から2年の工事期間となります。

 

大規模修繕の期間が長くなる要因は?

大規模修繕が長くなる主な要因は、天候不良、作業員不足、居住者クレームです。それぞれ詳しく解説していきます。

天候不良による工事の遅れ

近年の気候変動により、大規模修繕の工期設定が難しくなってきています。爆弾低気圧や大型の台風が来れば、足場のシートを畳んだり、強風への対策に奔走することになるのです。また、建設業界でも熱中症への対策が叫ばれています。

気温・湿度が一定の値を超えると、作業を中止するように国交省も推進しています。こういったことから、一昔前に比べて、作業できる時間が短くなってきているのです。

 

作業員不足による工事の遅れ

昨今、建設業界では人手不足が大きな問題となっています。大規模修繕は、機械化することのできない作業が多いので、人材を確保することが出来なければ、作業の進捗は遅れていくのです。

住民のクレームによる工事の遅れ

大規模修繕は、住民が生活する空間で工事を行うこととなります。住民にとっては騒音やにおいなど、慣れない環境となりますのでストレスを感じるでしょう。業者は、住民からのクレームがあれば工事時間を短縮したり、特定の時間のみ工事を行うなどの対策を講じます。

その結果、工事が予定通りに進まなくなり遅れに繋がってしまうのです。

 

大規模修繕の期間を短くするコツ

長期間に渡り行われる大規模修繕ですが、なるべく短く終わらせるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、大規模修繕の期間を短くするコツを詳しく解説します。

工事範囲を限定する

大規模修繕は、足場を設置し大掛かりな工事が行われます。ただ、すべての部分で緊急性の高い工事が行われる訳ではありません。工事範囲を限定すると、工期の短縮と費用の減額を図ることが出来ますので、工事内容を吟味し必要な工事を行うようにしましょう。

 

工事時期を業者に任せる

工事時期を業者に任せることで、作業員の確保がやり易くなります。作業員が多ければ、作業の進捗が良くなり工事期間の短縮に繋がるでしょう。また、質の高い作業員を集めることが出来ますので、よりスピーディに高品質な工事が行われることになります。

住民が協力する

大規模修繕は、バルコニーの片付け・網戸の取り外しなど、住民が協力しなければなりません。住民の協力がなければ進まない工事もあるのです。1件でも協力的でない部屋があれば、全体に遅れが生じてしまいますので、住民同士が助け合い、マンション全体で大規模修繕に向き合うようにしましょう。

 

まとめ

それでは、大規模修繕の期間についてまとめます。

記事のまとめ
  1. 工事期間
    計画から工事完了まで、約2から5年。場合によってはさらに長期になる。
  2. 工事が長くなる原因
    天候不良・作業員不足・住民のクレーム
  3. 工事期間を短くするコツ
    工事範囲を限定する・時期を業者に任せる(暇な時期)・住民が協力する。

 

大規模修繕を行うにあたり、期間を出来るだけ短くし、住民にとってストレスの少ない工事を実現しましょう。この記事が皆様のお役に立てば幸いです。