マンションの大規模修繕を行う4つのメリット|税制上の利点も解説

大規模修繕を検討されるときに、どんなメリットがあるかイマイチわからない方も多いのではないでしょうか。

大規模修繕をおこなうことで、居住者にとっては色々なメリットがあるのです。

ここではマンションの資産価値に大きく影響する、大規模修繕のメリットを解説していきます。

マンションを大規模修繕する【メリット】

マンション大規模修繕を行うことで生まれるメリットは、大きく分けて4つあります。

  • メリット1.安全性の向上
  • メリット2.耐久性の向上
  • メリット3.住環境の改善
  • メリット4.長期的なコスト削減

この4つのメリットを理解しておけば、大規模修繕にむけて居住者間の合意形成が図りやすくなります。1つずつ解説していきましょう。

メリット1.安全性の向上

住居の安全性が向上することは、大きなメリットです。

なぜなら、安心に暮らしていく上で、住まいの安全性は欠かせることができないからです。

近年では「マンションの外壁崩落」、「ビルの看板落下」などがニュースで報じられています。普段と同じ日常を送っている中で、予想だにしない事故が起こっているのです。

「マンションの外壁崩落」や「ビルの看板落下」といった事故は、外壁や看板の付着力が低下することで起こります。例えば、それらの落下物が、居住者や第三者にあたり死亡災害になることもあります。そうならない為にも大規模修繕を行うことが必要なのです。

大規模修繕は、外壁や付属物などの付着力が確保されているか調査することから始まります。その調査結果に基づき、工事の方法を選択し修繕していきます。つまり、付着力を失って崩落しそうな状態を無くすことができるのです。

大規模修繕を定期的に行うことで、「マンションの外壁崩落」や「ビルの看板落下」といった事故は防ぐことができます。大規模修繕によって安全性が向上し、安心して暮らせる住居となりますので大きな【メリット】と言えるでしょう。

メリット2.耐久性の向上

マンションの大規模修繕は、主には劣化している部分を補修する工事です。ただし、将来的に劣化することが考えられる場合も、部位によって工法や材料を検討しながら補修を行っていきます。

ようするに、建築物としての耐久性を向上させるということ。

人で例えると、病状によって治療方法を変えるということです。マンションの大規模修繕で、予防を前提とした補修をおこなうことで修繕サイクルを延ばすことができます。

例えば、築12年サイクルで大規模修繕を行った場合「12年×5回=60年」。このサイクルだと築60年を超えるころには、5回目の大規模修繕が終わっていることになります。

また、築20年サイクルで大規模修繕を行った場合は「15年×4回=60年」。このサイクルですと、4回の「大規模修繕」で築60年を迎えることになります。

メリット3.住環境の改善

大規模修繕には今あるものを修繕すること以外に、設備を新しくする工事も含まれます。

時代の流れとともに、マンションに暮らす人の家族構成や年齢は変わってきます。もともとの設備では、不便と感じられるところも多々出てくることでしょう。大規模修繕では、マンションで生活する上での問題を改善する工事を行うことができます。

例えば、高齢者にとって暮らしやすくするためにエントランスにスロープを付けたり、防犯効果の高い照明器具を取付けたりと、住環境を改善するポイントは多々あります。設備を新しくすることで、不便から便利に変えることができるのです。

メリット4.長期的なコスト削減

マンションは大規模修繕を定期的に行うことで、100年以上使うことができます。

税法上の耐用年数は47年で設定されていますが、これは減価償却費を計算するために設定された数字です。一般的な鉄筋コンクリート造のマンションであれば、100年以上の耐用年数があると言われています。

そのためにも「適切な時期での適切な工事」を行うようにしましょう。大規模修繕はマンションの寿命を左右します。より長く使われるマンションにするためにも大規模修繕を定期的に実施してください。

大規模修繕は税制上のメリットもある?

大規模修繕を行うことで全くことなるメリットも生まれます。

固定資産税の軽減

令和5年度の税制改正に「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)の創設が盛り込まれました。

これは、管理計画の認定を受けたマンション等において長寿命化工事が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税が減額されるというものです。

減税割合は、1/6から1/2の範囲内(国として設定する基準は1/3)で市町村の条例で定められます。

減税シミュレーション

  • 専有面積  100㎡
  • 新築購入価格6,000万円(固定資産税評価額 6,000万円×70%=4,200万円)
  • 建物固定資産税評価額 1,200万円
  • 土地固定資産税評価額 3,000万円

築24年目の固定資産税シミュレーション

  • 建物固定資産税額 1,200万円×0.4189(築24年目の補正率)×1.4%(標準税率)=70,375円

「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」により1/3が減税されると、23,458円となります。

長期優良住宅認定制度

長期優良住宅認定を受けると、固定資産税が一定割合減額されます。

減額割合 2/3 減額期間1年間

長期優良住宅認定制度とは、長期間に渡り良好な状態で使用される建物をつくるために設けられた制度です。

長期優良住宅認定制度は、マンションの大規模修繕でも認定を受けることができます。ただし、大規模修繕の中で、認定基準となる工事を行う必要があります。大規模修繕を計画する時、該当する工事を確認するようにしましょう。

まとめ

現在、築40年を超えるマンションは全国に138.1万戸あると言われていますが、15年後の2038年には、366.8万戸に膨れ上がるのです。日本の人口減少が叫ばれる中、マンションのストック数は増加傾向にあります。

資産価値の高いマンションであるためには、市場において選ばれるマンションでなければなりません。そのためにも大規模修繕を成功させ【メリット】を享受する必要があります。

大規模修繕は、マンションという建物に住んでいる限りついてくるのです。

大規模修繕を行うことで得るメリットは目に見えにくいですが、確実に資産価値の爆増に繋がります。マンションに住んでいる以上、外壁や屋上、共用廊下も自分自身の財産の一つであるということを忘れてはいけません。

大規模修繕で得ることのできる【メリット】を十分に把握し、暮らしを向上させることの出来る工事を行いましょう。