「大規模修繕の相場ってどのくらいだろう?」
大規模修繕の見積もりを取っても、それが高いのか安いのかは中々見分けがつきません。
一概には言えませんが、大規模修繕には大体の相場があります。この記事では大規模修繕の費用の目安がわかるよう、様々な観点から相場を解説していきます。
最後に費用を抑える方法も紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
目次
大規模修繕の費用の相場は?
大規模修繕の相場は国土交通省の調査で公開されています。令和3年度のものを参考にみてみましょう。
1戸あたりの費用相場は100万円前後
令和3年度の調査では1戸あたりの費用相場は75万円〜125万円が50%近くを占めました。
バラツキがあるのは、建物の状況や土地環境によって費用が異なるためですが、1戸あたり大体100万円前後かかると考えると良いでしょう。
50戸であれば5000万円前後かかる見込みです。
床面積1平米あたりの費用相場は10,000円〜13,000円
1平米あたりで計算すると、費用相場は1,0000円〜13,000円ほどです。
1フロア100平米、10階建てのマンションであれば
100平米/フロア×1,0000円=100万円
100万円×10階=1,000万円
ちなみに、2回目以降は上記の相場に10〜15%ほど上乗せされていきます。
大規模修繕の相場観を持つことで施工業者にプレッシャーを与えられる
ここまでの相場はあくまで目安ですが、相場観を持っておくことは大事です。
施工業者の中には、高めの見積もりを作ったり、あとから追加工事を請求してきたりします。
施工業者が提案してきた見積もりを批判できるようになると、手を抜かないように牽制することもできます。出された見積もりを鵜呑みにせず、相場からどのくらい誤差があるのか入念にチェックしましょう。
修繕箇所別の費用相場は?
修繕箇所によっても費用相場は異なります。特に仮設、塗装、防水は大規模修繕において鉄板の修繕箇所になっています。相場観を覚え、見積もりを厳しくチェックできるようにしましょう。
仮設工事の費用相場
仮設工事とは足場を組む工事のことです。
仮設工事の費用相場は1平米あたり800円〜1,000円ほどです。
仮設工事には足場、ガードマン、運搬費、仮設トイレのリース代など、工事を円滑に進める上での準備費が含まれます。
50戸ほどのマンションでは最低でも700万円前後。20階以上の高層マンションでは、特殊な足場が必要になるため、更に費用が上がります。
ちなみに足場の費用は、マンションの(外周+8m)×高さで割り出します。設計図で外周と高さを把握しておけば、足場代に関しては自分で費用を算出することも可能です。
塗装工事の費用相場
外壁塗装の費用相場は1平米あたり1,000〜5,000円です。ただ、塗料にはいくつか種類があるため、相場はかなりまちまちです。
塗料にはアクリル、ウレタン、シリコン、ラジカル、フッ素があります。
ちなみに最もよく使われるのはコスパの良いウレタンです。1平米あたりの単価は2,000円前後で、10年ほど持ちます。
アクリルは1平米あたりの単価は1,000円前後と安いのですが、5,6年しか持たない為、何度も塗り直さなければなりません。長期的に見ると、ウレタンよりコスパが悪くなってしまう場合もあります。
塗料には防水機能を含んだものや、特殊な見栄えを演出するものもありますので、費用だけではなく、建物や立地にあったものを選ぶようにしましょう。
防水工事の費用相場
防水工事の費用相場は1平米あたり10,000円ほどです。これは屋上・廊下・バルコニー・ドアの継ぎ目などにあるシーリングを合わせた相場です。
一般の方が防水修繕箇所の面積を細かく算出するのは容易ではありません。自分が所有・管理する物件の防水箇所の面積がわからない場合は、最低でも3つの業者から見積もりを取りましょう。
見積もりには防水箇所の面積が書いてあるはずなので、防水工事にかかる費用から1平米あたりの単価を算出できます。
建物の防水機能は、雨水や生活排水の侵入を防ぐ他、建物の構造部に水が侵入するのを防ぐ役割があります。建物の寿命に直結するといっても過言ではありません。入念に見積もりをチェックしましょう。
設備工事
設備の修繕や改修には50戸であれば200万円前後。改修に伴い、付帯設備を大きくグレードアップする場合は更に費用がかかります。
設備工事とはマンションの電灯やポストといった付帯設備の設置や改修です。2回目、3回目以降の修繕には貯水タンクなどの給水設備も含まれる為、費用が高くなっていきます。
積立金の相場は10,000円/月
国土交通省の調査によれば、積立金の相場は1戸あたり10,000円/月前後です。
修繕積立金の額は、大規模修繕にかかる費用を見越して計算されます。
国土交通省によれば、約34%の大規模修繕では「積立金が不足している」と示されました。予め建物の劣化具合、工事業界の人手不足、物価高騰なども加味して、余裕を持った積立額を設定することが重要です。
所有者に説明を求められた際、積立額が何を根拠に設定されているのか説明できるようにしておくと、管理組合としての信頼度も高まります。
相場より費用を抑えるには
相場より費用を抑えるには、以下の点に注意してください。
POINT
- 修繕前に調査する
- 日頃のメンテナンスで問題の発生を抑える
それぞれ具体的に説明します。
修繕前に調査する
定期的に防水機能、外壁塗装等の建物の状態を調査することで、修繕費用を抑えることができます。
最も費用がかかるのが防水と外壁塗装です。建物に深刻な影響を及ぼす前に問題点を把握することで、最小限の修繕で済みます。
また、調査で建物の状況を知っていれば、いい加減な見積もりを出す業者に対し、指摘できる場合があります。
日頃のメンテナンスで問題の発生を抑える
日頃から問題点を発見し、こまめにメンテナンスをしていると大規模修繕の費用を抑えられる場合があります。
費用が高くなる原因のほとんどは、雨水の侵入による構造部の劣化です。防水機能と外壁塗装は10年経つ前に劣化するため、劣化した箇所から建物の内部まで雨水が侵入してしまいます。
大きな工事になってしまう前に、日頃からこまめに修繕を行なっておくようにしましょう。
まとめ
大規模修繕にかかる費用の相場についてご紹介してきました。ここまでをまとめると
- 1戸あたり75万円〜125万円、床面積1平米あたり1,0000円〜13,,000円が大規模修繕費用の相場になる
- 積立額の相場は1戸あたり10,000円前後
- 日頃の調査やメンテナンスが費用を抑えるポイントになる
管理組合だけで費用を算出したり、メンテナンスを行うのは難しい場合がほとんどです。
日頃から管理会社やコンサルタントに相談し、大規模修繕直前になって慌てることがないようにしていきましょう。