3回目の大規模修繕を迎えるマンションは築35年~45年程度。これまでにおこなった修繕のサイクルが長い場合には築50年を超えるものも出てきます。
このあたりの築年数になると、これまでは気にならなかった箇所も劣化し、修繕が必要になることもあるでしょう。
今回は、そんな3回目のマンション大規模修繕で行う項目について説明していきます。
3回目の大規模修繕では玄関ドアや窓の修繕を
3回目の大規模改修では、建具の修繕を行い、快適に過ごせるようにしましょう。ドアや窓を修繕することによって快適な生活を維持できるようになります。
ドアや窓に関しては毎日動く物ですので、数十年経過すると劣化してしまいます。3回目の大規模修繕で窓やドアの修繕を計画しましょう。
大規模修繕で行うドアと窓の範囲
大規模修繕では共用部のドア及び窓の修繕が対象です。共用部のドア及び窓は以下の通りです。
・エントランス等の多数が通る共用のドア
・各住戸の玄関ドア
・ベランダやバルコニーに通じるドアと窓
・ベランダやバルコニーに面していなくても開けると外が見える窓
このようになり、住戸内にある部屋を区切る窓やドアは対象外となります。
全戸の窓サッシ交換で隙間風をなくす
築年数が長く経過していると、隙間風が発生することや、窓が締まり切らないという問題が発生してきてしまいます。自然な状態でそのような事象が発生した場合には住人の個人負担ではなく、マンション管理組合費からの修繕となります。
ドアに関しても同様で、閉まりづらいなどの問題がある場合には交換をしなければなりません。
全ての窓やドアの交換には莫大な費用が発生
建具交換は単体で見ると安価に見えますが、全戸数分交換するとなると莫大な費用が発生し、管理費の首を絞めることとなります。
ベランダやバルコニーに面する大きい窓の場合、種類にもよりますが安くても1か所当たり約30万円程度の交換費用が発生するのです。
仮に50世帯が同じ窓を設置していた場合にかかる費用は、約1500万円です。防火用窓の場合は倍以上の費用が発生することもあります。
3回目の大規模修繕では、1回目、2回目よりも負担する費用が大きくなる為、できるだけ予算を削ることが大切です。現状の管理費貯蓄分と、他の修繕項目、予算を検討して様々な方法で建具修繕を行いましょう。
全戸の建具検査にて修繕方法を検討
全戸の共用部に該当する建具に対して健全度診断を行います。その結果によって修繕方法を検討してください。必ずしも建具交換ということにはならず、場合によっては軽度な修繕でまかなえる場合もあります。
健全度調査をは建物全体、もしくは一部の劣化度合いを診断することです。人間で言うと所の、健康診断にあたります。
建具修繕は多種多様に存在する
建具を丸ごと交換せずとも、修繕する方法があります。著しい隙間風がある場合でも、カバー工法など、現存している建具を残したまま新たに建具を設ける方法です。
また、全戸軽度な劣化具合であれば、レールのみを交換する、クレセントを交換するなど、豪一部の交換で済む場合もある為、予算削減に効果的です。
大掛かりな修繕は全戸同じ修繕方法を行う
劣化具合は居室によって様々です。交換などで新しくする場合には全居室で同じく新しくしてください。共用部ですので、一部が新しい、古い、と差が生じると住人間のトラブルになり兼ねません。
滑りにくくなっている箇所の修繕やその他軽微な修繕に関しては個々に対応しても問題ないでしょう。
大規模修繕3回目には給排水設備の点検・修繕を
給排水の修繕に関しては、衛生面を保つことや、安定な水の供給、水漏れ防止などの為に行われます。
給排水設備は長年経つと内部が汚れることや金属部分に錆が生じ、水漏れの原因になることも多いです。給水管が汚れると衛生的にも良くありません。水漏れが生じると、住戸など個人の資産に影響を及ぼす可能性がある為、十分な対策が必要となることがあります。
給水タンクは、定期的な清掃が義務付けられていますが、劣化することには違いないので交換などの対策をする必要があります。
配管交換・修繕では内視鏡で点検実施を
配管の交換は予算もかかるだけでなく、一時的に給排水が使用できなくなります。その為、実際の劣化診断をしてください。検査では人間の健康診断同様に内視鏡を使用して配管内部を点検します。
この劣化診断から交換が必要なのかの判断と、交換する箇所の判断が可能となり、必要違法の修繕をしなくても良くなるのです。
点検の実施は大規模修繕前に行う
給排水設備点検は、大規模修繕計画の前に実施します。事前検査によって、大規模修繕時に給排水設備の関する修繕が必要性の有無を判断してください。大規模修繕計画は前年までに組まれます。よって、大規模修繕を行う年の2年~3年前に検査をするのが理想的です。
必要があった場合に大規模修繕計画に盛り込むようにして下さい。
給水タンクの交換は給水設備の検討を一緒に行う
給水タンクは、昔の建物に屋上に設置されていることが多い給水計画です。これは屋上にタンクを置くことにより、重力を利用して各住戸に水を供給します。
現代ではこの方法だけなく、1階や地下部分にタンクを置いてポンプの力を利用して各住戸に給水タイプなど々様々な方法があります。それぞれメリット・デメリットがある為、検討してから交換しましょう。
大規模修繕3回目で地震に強い建物にしよう
大規模修繕にて耐震改修をすることも多いです。現在のタイミングで3回目の大規模修繕を迎えるマンションにおいては1981年の建築基準法大改定前の建物が多いでしょう。1995年に発生した阪神淡路大震災では1981年より前に建てられた、いわゆる「旧耐震基準」の建物が崩壊・倒壊しました。
その為、安心して暮らせるように、耐震改修工事を行う計画を立てましょう。
耐震改修では建設業者によって様々な工法がある
耐震改修ではブレースでの補強や柱を太くする補強がありますが、近年様々な技術が開発されています。新技術により見た目にもさほど影響がないような耐震改修ができる為、景観も損ないにくい時代となってきています。
費用に関しても工法によって様々です。大規模修繕で耐震改修を予定している場合は、発注予定業者に技術的な提案と見積りを依頼してみてください。
耐震改修では自治体から助成金が受け取れることも
自治体によっては助成金も設定されており、100%管理費負担になることはほぼありません。マンション所在地の市町村区で耐震改修における助成金制度について調べてみてください。助成金制度に関わる事項が掲載されています。
検索方法は「○○市 耐震改修 助成金」と検索してみてください。助成金の仕組みや申請の流れについて書かれています。さらに、市町村区役所の建築課にて問い合わせると詳しく聞くことができます。
耐震改修では建築基準法に則り確認申請が必要になることも
構造体(躯体)の半数以上を修繕する際には確認申請が必要となります。確認申請には、一級建築士事務所で構造計算を行い、行政(検査機関)に提出し承認を得なければなりません。
承認には1ヶ月以上有することもある為、すぐに検討、実行は難しい為早めに準備しましょう。承認だけでなく、設計からの検討も必要になる為、1年以上前からの検討を実施してください。
3回目の大規模修繕にかかる費用目安
3回目の大規模修繕ともなると、補修箇所が増えてその分費用が必要となります。
実際にどの程度の金額になるのか、目安を説明しますので、参考にしてみてください。
各回数目での大規模修繕費用の目安
1回目の大規模修繕では、1世帯当たりおよそ100万円前後
2回目では、1世帯あたりおよそ120万円~150万円前後
3回目では1世帯あたりおよそ200万円前後
かなり高額となり、1回目と3回目を比較すると2倍の費用が必要となってきてしまいます。
修繕内容やマンションの造りによっても金額は異なる
必要最低限の修繕を行うのであれば、大きな費用は発生しません。ただし、マンションの価値や生活のしやすさなどの基準は下がってしまいます。
また、材料を高価な物を使っている場合は修繕費用も高くなってしまいます。
その他にも階数や、鉄筋コンクリート造や鉄骨造といった構造種類にもより金額は前後してくるでしょう。
まとめ
近年、建物の長寿命化を目指す動きが強まってきています。マンションにおいても同様で、できるだけ長持ちさせて快適に住める方が、苦労せずに済むのです。
築年数の長いマンションを所有している場合、マンション建て替えたからといって建て替えたマンションの同階、同じ広さや様々な部分で同じ条件の部屋に住めるわけではありません。
資産的価値はかなり下がり、住んでいた部屋よりも悪い条件になることがほとんどです。そうならない為にもより良い修繕を行い建物の長寿命化を目指してください。