大規模修繕を行う際は、必ずと言っていいほど室外機の移動・移設があります。多くの場合、バルコニーに設置されており、塗装や防水の工事を行う時に障害になるからです。
「ただ移動させればいいんでしょ?」
そう思う方もいるかもしれません。実際はそんな簡単なものではなく、手順を間違えると大きな事故やクレームに繋がることもあるのです。この記事では、室外機を移動させる目的や注意点などについて解説したいと思います。
目次
大規模修繕で室外機を移動させる目的は塗装や防水工事のため
マンションの場合、バルコニーに室外機が置かれていることが多い為、大規模修繕の障害になることがあります。
例えば塗装工事では、壁を塗る際に壁際に設置された室外機を移動させる必要があります。
バルコニーの床に行われる防水工事では、室外機が地面に設置しないよう、室外機を浮かせる必要があるのです。
気になる室外機の移動費用は?
大規模修繕では、室外機の移動が必須ですが、あまり焦点が当たらないポイントです。工事の対象でないため関心が薄く、他の工事に比べると費用も安いからです。
とはいえ無償ではありません。適正な金額を見極めるためにも、しっかり相場を押さえておきましょう。
室外機を移動させる費用は一台当たり1,600〜2,400円程度
室外機を移動させる費用は一台当たり1,600〜2,400円程度になります。室外機が50台あるマンションであれば、80,000〜120,000円が相場になるでしょう。
ちなみに、室外機の移動は見積項目の「諸経費」に計上されます。物の運搬や駐車場代と一緒くたにされるため、不透明になりやすいです。
大規模修繕の見積もりをもらった際は、諸経費に注目してみましょう。室外機の移動・復旧費が含まれているはずです。
大規模修繕の室外機移動にホースの交換が必要になる場合がある
大規模修繕を行う際、室外機のホース交換が必要になる場合があります。それは室外機のホースが短く移動できない場合です。
バルコニーは共用部です。共用部の管理は、管理組合や不動産会社が行います。が、同時に住民が占有できるスペースでもあるため、室外機は所有者が管理する荷物と同じ扱いになるのです。
そこで、移動が難しい場合は、室外機を管理する居住者が自己負担でホースを長いタイプに替える必要があります。
こういったケースはめったにありませんが、必要な場合は事前説明をした上、必ず居住者の賛同を得るようにしましょう。
室外機を移動させる際の注意点
大規模修繕で室外機を移動させる際には、いくつか注意点があります。中でも重要なものを3つ解説します。
事前の説明を居住者に行う
大規模修繕を行う前に、必ず室外機の移動に関する説明を居住者に行いましょう。修繕の状況によっては、一時的にエアコンを使えなくなる場合があり、夏場などは特に居住者に負担がかかるからです。
更に、生活スペースであるベランダでの工事を行うため、覗かれているような心理的ストレスもかかります。
これらを踏まえると、説明をする際に押さえたいポイントは以下の通りです。
住民に説明する前に抑えておきたいポイント
- 室外機を移動させる工事があること
- 移動によってエアコンの使用ができなくなる場合があること
- 施工会社の管理を徹底していること
居住者の生活に制限が生じたり、生活スペースに入り込まれたりすることは、想像以上のストレスがかかります。事前の説明でしっかりと理解を求めるようにしましょう。
事前に工事期間を周知する
2つ目は工事期間を周知することです。ポスティングで周知するのであれば、以下の点を盛り込みましょう。
ポスティングのポイント
- 工事期間
- 施工会社
- 施工中の注意点(窓を開けない、エアコンが使えない、カーテンを閉めるなど)
- 問い合わせ先
室外機を移動させるということは、バルコニーに人が入って工事をするということです。それでも不快感を覚える中、室外機の移動でエアコンが使えないとなると、抱えるストレスはかなり大きなものになります。
工事が始まる1週間前には周知し、居住者に注意喚起を促しましょう。
施工会社の管理を徹底する
3つ目は施工会社の管理を徹底することです。室外機を移動させることで起きるトラブルは
- 室外機が傷ついた、壊れた
- 室外機の上に乗って作業された
の2つです。
室外機の移動は、場合によってはホースを外し、復旧する作業が生まれます。復旧作業がうまくいかないと、エアコン内のガスが漏れ出し、ホースの接続部に霜が降りて故障します。
室外機は居住者の持ち物ですが、施工会社の責任が明らかな場合は、管理会社や施工会社に賠償を求められる場合があるのです。
双方にとって無駄な時間と労力を生むので、室外機の移動には最新の注意を払ってもらいましょう。
また、室外機の上に乗るのもNGです。
「ちょっとだからいいや」
と乗っかる業者を何人も見てきました。自宅でやられたらと思うと、大事にされていないようで非常に不快な気持ちになるものです。
破損の原因にもなりますので、施工時は管理会社にチェックを徹底してもらいましょう。
まとめ
この記事では、大規模修繕で室外機を移動させる目的や注意点について述べてきました。まとめると
- 大規模修繕では室外機の移動が必須
- 室外機の移動が住民負担になる場合がある
- 移動させる際の注意点を必ずおさえる
このようになります。室外機の移動は、大規模修繕の中では作業過程の一つなのであまり注目されないかもしれません。
しかし、居住者にとっては生活を支える大事な家財です。
「人のものを扱っている」
こういった意識を管理会社や施工会社と共有させて工事に臨んでいきましょう。