マンション新築当時からはじめての大規模修繕では、何をしたら良いかわかないことが多いのではないでしょうか。管理組合設立から1回目の大規模修繕では当マンションでの前例はもちろんありませんので難しく感じることが多くあるでしょう。
今回はマンションの大規模修繕「1回目」についてご紹介いたします。
マンションの大規模修繕では何をすべきなのか解説していきます。
目次
1回目のマンション大規模修繕“建築基準法”をチェック
マンションの大規模修繕では建築基準法によって決められていることもあります。特に1回目の大規模修繕の際に決められている事項がある為注意しましょう。
1回目のマンション大規模修繕は外壁の打音検査が必須
建築基準法第12条において、竣工後から10年経過してからの最初の調査時に外壁の全面打音検査が行うように義務付けられています。
外壁の打音検査とはRC造(鉄筋コンクリート造)の外壁で、仕上げのタイル面や、モルタル面の全面的に検査をするということです。
「10年経過してからの最初の検査」という法的基準ですので、必ずしも10年で大規模修繕を行う必要はありません。最初の大規模修繕で検査しましょう。
マンションの築年数における長期修繕計画の確認
長期修繕計画を確認し、1回目の大規模修繕で何の修繕をするべきか確認しましょう。まずは計画事項から修繕内容を検討し、計画することが近道となります。
長期修繕計画とは?
大規模修繕を計画するのにあたって確認するには事前準備として、築年数・修繕履歴・長期修繕計画を確認しましょう。
マンションが建てられると同時に長期修繕計画が作られています。長期修繕計画では築何年の大規模修繕でどのようなことをするか計画されている指針となるのです。
防水関連修繕を1回目大規模修繕で行う
建物内に雨等の水分が侵入してしまうと劣化の進行を早めるだけでなく、住戸に侵入すると生活ができなくなってしまいます。さらに、管理不足による住戸への雨漏れは損害賠償責任が生じてしまうので注意しましょう。
防水修繕とは?代表的な建物の防水箇所
・窓枠(サッシ廻り)のシーリング
・外壁のシーリングその他防水処理
・屋上防水(屋上やバルコニーに床面等)
代表的な防水箇所です。基本的に雨風が当たる部分に関して、雨水が侵入する可能性があるところは防水処理が施されていると考えてください。
防水の修繕では耐久年数と保証期間に注意
シーリング工事の耐久年数及び保証期間は10年となっている場合が多いです。シーリングは紫外線に弱く、10年程度で劣化しやすいとされています。
屋上防水においては、仕上げ方によって耐久年数と保証期間が異なりますので十分な確認は必要です。まずは図面や仕上げ表及び保証期間を確認し必要な場合のみ大規模修繕予定箇所としてください。
保証期間が残っている場合は無理に修繕しない
保証期間があと数年だとしても、先に大規模修繕にて屋上防水等については行わないようにしましょう。特に屋上防水に関しては全面的な足場を使用せず施工できる為、後からでも低コストで施工可能です。
「念のため早く修繕したい」という気持ちにもなるかもしれませんが、早く施工してしまうと、修繕サイクルが短くなります。サイクルが短くなると数十年後に響きます。
例えば、15年ごとに防水修繕をすれば良い場合に、12年で防水修繕をしたとします。築60年では4回で済む防水修繕が5回になるのです。防水修繕は数千万円費やすことがある為、これでは管理費でまかなえなくなることを抑えておきましょう。
鉄部分の大規模修繕を行う
鉄筋コンクリートマンションでも鉄が使われています。特に外部階段や一部手摺です。鉄部分は、防錆塗装+仕上げ塗装にて作られていますが、雨や外気に晒されて塗装が剥がれているところもある為、修繕対象となります。
塗装が剥がれる問題点は?著しい耐力低下に
防錆塗装まで剥がれてしまった場合は、鉄の腐食が始まります。鉄が腐食すると鉄が本来持ち合わせている力が無くなるのです。そのまま放置すると崩れる可能性も出てくるため腐食を進行させないようにしなければなりません。
錆初めてから防錆塗装を行っても手遅れになる可能性もあります。そもそも、塗装もできない可能性があるでしょう。鉄部の交換は膨大な費用が発生する為、あらかじめ塗装を行った方が、将来的に見てコストパフォーマンスが高くなるでしょう。
海に近い地域の場合は特に注意が必要
海が近いと潮風によって鉄部が腐食しやすい状況が生まれます。海からおよそ10㎞までにあるマンションでは特に注意が必要となるでしょう。
海が近い場合には内陸部よりも特殊な防錆塗料が使用されていることもあり、耐用期間が長いこともある為、保証期間を確認し大規模修繕計画を作りましょう。
1回目のマンション大規模修繕は“たたき台”となる
前例がない1回目の大規模修繕ではこれらか続く大規模修繕の前例となり、大きな見本となります。プレッシャーに感じてしまいこともありますがあまり難しく感じることはありません。
しかし、築年数が短い場合には慣れている管理会社がついていることも多く、適切なアドバイスをもらえる可能性が高いので大きな不安を抱える必要はありません。
大規模修繕した記録は明確に残す
今回修繕した記録と、後回しにする記録はしっかり明記し、2回目の大規模修繕で困らないようにしておきましょう。
手順や、準備についても記録し2回目の修繕計画の際にスムーズに進行できるようにすると困りごとが減ります。
無駄な修繕はしない。将来を考えた予算計画を
必ずしも、大規模修繕計画に則って全ての修繕を行う必要はありません。次の大規模修繕に回せる事項がないか検討してください。
大規模修繕計画では予定取得管理費や予算が記載されていますが、特に管理費収入の面は予定通りいかないこともあります。将来、物価の高騰によって工事費が予定より発生すると必要な修繕ができなくなる場合もある為、残せるお金は残していきましょう。
まとめ
1回目のマンション大規模修繕は前例もないことがあり苦労することもあるでしょう。しかし、長期修繕計画や、管理会社の担当者の助言からヒントを得て計画を進めればスムーズに進むことも多いでしょう。
無事に1回目の大規模修繕を乗り越えましょう